五分おきに変わる欲求
お腹の子は、7ヶ月になった。頻繁にお腹が張ったり、少しの動作で息切れしたりしながら、毎日胎動を感じる、大変だけど有難い生活を送らせて貰っている。
人間にも鳥のように、出産前には、住居を整えようという巣作り本能があるらしい。その影響なのか、片付けが苦手な私も、最近は家を整えようという意識が湧いて来た。けれどやっぱり片付けは苦手で、掃除にばかり逃げている。今日は、五徳掃除と、ポットのクエン酸洗浄と、お風呂の水垢取りに挑戦してみた。五徳掃除、楽しい。お風呂前につい夢中になっていると、ニコちゃんが足にまとわりついてくる。
「ママ、ユーチューブつけて。」ちょっと待って。ゴシゴシゴシゴシ。「ママ、しまじろうの牛さん切りたい。」しまじろう全部切っちゃったやろ?もう無いねん。「ママ、ミルクティみたいなやつ飲みたい」ほうじ茶ラテ?作ったろ。「ママ、おしっこ!」行こ!
よくもまぁ、そんなに色々な欲求が次々と湧き上がるものだと感心する。どの欲求が満たされなければ機嫌が悪くなるかは分からない。ルーレットや運のようなもので、眠たかったり、お腹が空いてたりすると、全部が地雷だったりする。地雷を踏んだ時は、こっちも限界だったりで、怒ったり無視してしまったりして、後で後悔する。
なんで子供の欲求って、誰かが叶えないと叶わないものが多いんだろ。そして、子供に100%応えてあげようとすると、めちゃくちゃ疲れるし、100%応えないと、多かれ少なかれ罪悪感が付き纏う。私は子育てに不向きな性格をしているのかも知れない。いや、逆に向いているのかも知れない。知らんけど。
以前、隙間時間に親適性診断みたいなものをしてみた。本心のままに回答すると、7項目あるうちの、相手を尊重する気持ちだけが高評価で、他6項目は最低評価だった。もう一度、「こうあるべき」という優等生回答で再挑戦すると、全項目で百点満点が得られた。何というか、クソくらえ。そんなこと、分かりきってんだよ。適性なんて、いい加減なものなのだろう。
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ニコちゃんは、自立したい気持ちと甘えたい気持ちを行ったり来たりしている。赤ちゃんを楽しみにしてくれている一方で、まだまだ自分だって赤ちゃんのように甘やかされたい気持ちも満たされない。私の目線一つで、言葉一つで、笑顔になったり、泣き喚いたり。
今日は実家で夕飯を食べる時、祖母がニコちゃんを褒めてくれた。一人で食べれて賢いなぁ。そう、だいぶ一人で食べれるようになって来てん。そんな会話の数分後、ニコちゃんが「ママこっち来て。」「ママのお膝で食べたい。」「ママ食べさして。」祖母が呆れて笑う。
昨日、「明日パパとお風呂に入る」と約束したニコちゃん。パパは約束通り早く帰って来てくれた。嬉しそうに、お風呂に向かって、長い間出てこないニコちゃんとパパ。呼び出し音で風呂場に向かうと、ニコニコ笑顔のニコちゃん。けれど身体を拭いて、髪を乾かして、歯を磨いて、寝に行こうと言うと、途端に曇り顔。「ママがいい。」「3人がいい。」この調子だと、入院中が心配になる。まあ、なるようになるか。
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バレンタインに、リンツのチョコレートを50個買った。ホワイトを食べると、めちゃくちゃ甘かった。夫はピーナッツのを食べて、半分齧って、私にも食べるよう勧めてくれた。私は一人で何も聞かずにホワイトを全部食べた。「ごめん」と謝ると、「何ていうか、まあ、器の差?」と言いながら吹き出していた。私も笑った。
夫の言うことの9割は冗談で、私の言うことの9割は本気だそうで、似ていると思っていたけれど、実は全然違うのかも知れない。
ちなみにニコちゃんは一人で一個食べて、かつ「ママは食べたらあかん。ニコちゃんとパパで食べる」言うてはりました。最近ちょっと意地悪なってきた気がする。