ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

腕が筋肉痛です

 都会に行くと、全ての人が完璧でいるように見える。シワ一つないスーツに、新品のカバン、流行りの服に、キチンと染められた髪、隙のない化粧。私は、上手に溶け込めているのだろうか。ふいに自信が無くなる。夫はちゃんと都会の人に化けられているのだろうか。

 そんな風に思った二日後、ニコちゃんを抱っこして一時間半の遠足に出かける。家から駅に向かう時も抱っこ、電車の中でも抱っこ、電車を降りてからも抱っこ、日本酒の試飲も抱っこしながら。いつからこんなに甘えん坊になってしまったのだろうか。こんなに甘やかしていていいのだろうか。分からないけれど、甘やかす。

 ここでしか話せないこと。女同士ならではの会話。裏話。言ってしまいたかったこと。日本酒の試飲と、照りつける日差しと、涼しい木陰。そしてジャグリングに、紙芝居に、救急車。

 「すごくほんわかした集まりですね。」ハイボールとビールが好きなかわい子さんはそう言った。「お二人とも癒し系なんです。」電車で一人だけニコちゃんを抱っこしながら座らせてもらって、答える。なぜか誇らしく思いながら。そうでしょう、そうでしょう。

 かわい子さんと別れたあと、すぐに寝たのに、地元の駅に降り立った瞬間にニコちゃんが目を覚まし、「楽しかったねぇ。」とにっこり笑う。楽しかったねぇ。心から気持ちを込めて、ニコちゃんが同じ気持ちでいてくれたことを嬉しく思いながらそう返す。楽しかった。

 帰る途中で夫に連絡。夫は私の思うようにはしてくれなかった。けれどもそれは私が伝えなかったせい。してほしいことがあれば、言わなくてはいけないのだ。あまりごちゃごちゃ考えすぎず、もっと自分の気持ちを言葉にしなければ。伝えなければ、自分の思う通りには決してならない。

 私は、もっと思ったことを言ってもいいのかも知れない。自分が思っている以上に許されて容認される存在なのかも知れない。思い上がるのはよくないけれど、縮こまるのはもっとよくない。謙虚を履き違えず、もっとワガママに、自己主張を。意外とその方がいい結果になるのかも知れないし、ならないかも知れない。