ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

「鬼さん呼ぼうかな。」

 ニコちゃんが二歳四ヶ月を超えて、どんどん口達者になってきている。自分の思ったことはほぼ言葉にして周りに伝えることができるし、空気を読んで「ごめんなさい。」と言ったり、「ママ、すーき!」と言ったりすることもできる、スーパー二歳児、だと思う(親バカ)。

 そんなニコちゃんだけども、まだ二歳児なので、当然自分の欲求のコントロールなどできるはずもない。我慢は100回に1回ならできるようになってきたけど、残りの99回は自分の意思を押し通さないと泣く。

 昨日も同い年のいとこと遊んでいて、保育園から借りてきたお気に入りの本を、同い年のいとこが見ていると、「ニコちゃんの!」と言って泣く。「貸してあげて。」と宥めても、後ろからいとこを叩く。紙を投げる。陰湿な行いに、我が子の性格の悪さを感じた。怒りながらもあまりの性格の悪さに笑ってしまう。実姉に「それ絶対笑ったらアカンやつやん。」と私が怒られた。

 最近ニコちゃんが私をよく叩く。腕ならまだしも、顔を叩かれるとストレスが溜まる。「痛い!」と言って本気で怒ると、「ぎゅー!」と口で言いながら、抱きついてくる。可愛いと思いながらも、「ごめんなさいは?」と促すと、「ごめんなさいっ!」と元気よく謝る。そしてまたすぐに叩いてくる。…ごめんなさいとは何なのだろう。

 ご飯を食べない時、遊んで寝ない時、私の我慢の限界を迎えると、「鬼さん呼ぶよ。」と、伝家の宝刀を出す。怖い鬼に電話を掛けるアプリで、子供が見るととても怖いらしい。ニコちゃんの三つ上の姪っ子に、姉が使うのを見て知った。

 鬼さん呼ぶよ、を聞いたニコちゃんは「イヤ!」と即座に言うことを聞いてくれる。それでもグズグズしていると、「あ、鬼さん呼ぼう。」とスマホを操作するフリをすると、「イヤ〜〜〜〜〜〜!!」と泣き出す。「じゃあ鬼さん呼ばへんから〇〇して。」と言うと、ようやくやってくれる。本当にしたくない時はそれでもしないけど。

 酒蔵の帰りの電車の中、偶然居合わせた知らない父子が、「鬼さんに電話するよ。」「いらん!」のやり取りをやっていて、うちだけではないのだな、と安心した。

 美容学校の講師が言うには、人が美容室にやってくるには大別すると二つの目的があって、「流行に入りたい(集団に属したい)」という目的と、「目立ちたい」という目的のどちらかであるそうだ。私は前者の思いが強い。けれども目立ちたい、という気持ちも確かにある。世の中の流行はその繰り返しだ。

 ニコちゃんは、布団を頭にかぶせると得心するも、その後布団を蹴飛ばして、パパも蹴飛ばして、私のおっぱいに顔をうずめて寝た。まだまだ赤ちゃんが抜けきらないのだ。添い乳をしていた頃を思い出しながら、もし弟か妹ができたらニコちゃんは嫉妬するんだろうか、と考えた。一人っ子でも充分な気もするのだけども。

 育児に不安を抱える私が二人目を育てられるのか甚だ不安だけれども、とりあえず目の前の専門学校の卒業と国家試験の合格という課題に向けて頑張りたい。頑張ろう。えいえいおー。