ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

叔母といとこと母と私

 私の実家は父と母それぞれが別々の家業を営んでおり、主婦がいない家の家事を補うため、近所に住む父の弟の嫁、つまり叔母が実家に手伝いに来てくれていた。

 物心つくころには母の仕事はピークで、平日は夜遅くまで、土日も夜遅くまで働く母は仕事でいっぱいいっぱいだった。けれでも、学校の準備物など、細やかな準備に困ったことはない。経営者として、母として、彼女は優秀だったと、今では思う。

 放課後、学童に預けられることもなく、まっすぐ家に帰ってきては、姉やいとこと一緒に、叔母が帰るまで遊んだ。学校の出来事は、叔母が聞いてくれたらしい。母は自分よりも叔母に話す娘に、ショックを受けたとよく話した。叔母は人の話を聞くことに長けていて、今でも孫や姉の子や私の子に大人気だ。

 けれども叔母は身内びいきなところがあって、当たり前だけど私よりも自分の娘を、つまりは私のいとこを大切にした。姉や私にはリンゴを剥かなくても、自分の娘が私の実家に来るとすぐさまリンゴを剥いた。私が自分の子の話をすると、いつも孫の話を被せた。当たり前だけど、私はこの人の娘ではないのだな、と実感した。

 昨日、いとこが子供を連れて実家に遊びに来ていた。私は専門学校のスクーリング授業から帰って、子供を迎えに行って実家に行った。母は仕事が休みだった。実家に行くといとこがいて、嬉しい反面、寝不足で疲れていて、一人の時間が欲しかった。

 けれどもせっかくのいとことの時間。同い年の子供を持つママ同士でもあり、話すのは楽しい。母が甲斐甲斐しくお茶を用意し、お菓子を運んできてくれる。私だけでは、そこまで細やかに対応はしてくれない。母は身内よりも、家族以外に気を配る。現に叔母といとこが帰ると、スイッチが切れたように椅子に座って動かなくなった。

 どっちの方がいい、とかではないけれど、母には母のいいところがあって、それは他の人に勝るとも劣らない。そんな母を誇りに思った。