ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

インフルエンザ

 ニコちゃんが生まれて初めてのインフルエンザに罹った。インフルエンザA型だそうだ。日曜に40度を超える熱が出た。あれはやはり只事ではなかったのだ。

 それなのに月曜に熱があまり上がらず元気にしていたので、大したことはないだろうと高を括って病院に連れて行かなかった。これまでも39度の高熱を出して翌日に熱が下がってケロッとしていることはよくあった。今回もそうだと思っていた。

 保育園に預けてすぐに先生から電話があった。「熱が37.7度で、ぐったりしていて顔色が青いです。」慌てて保育園に駆け付けた。端の方で布団で寝かせられていた。私を見ると駆け寄ってきたが、どこか元気がない。「隣の組でインフルエンザの子が6人います。病院に行って下さい。」先生の勧め通り病院で検査を受けた。「インフルエンザじゃないだろう。」医師も私もそう思ったし、そう言った。けれども結果は陽性で、隔離されて病院の裏口を通って帰った。薬剤師からはタミフルを処方され、「家に帰ったら直ぐに飲んでください。」と言われた。

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 病院には私の祖母が付き添ってくれた。実家に帰ると(私の職場は実家で、働く時はお昼も実家で呼ばれるので)「インフルエンザやった…。」と開口一番に報告した。蜘蛛の子を散らすように、お昼を食べに来ていた父や叔父が退散した。ニコちゃんは逃げる叔母に抱きつきに行って困らせていた。(止めんかい。)お昼を食べるように説得するも、タミフルを飲むために混ぜたチョコアイスしか食べなかった。病院に行く前に叔母が作ってくれた卵入りうどんは子供用の茶碗に二杯食べたのだけど。

 母に五日間の出席停止を告げる。「保育園にインフルエンザやなんて言わんかったら良かったのに…。忙しい時期やのに。」その手があったか。いや、考えていなかったと言うと嘘になる。けれど実際にやっている人がいたというのは衝撃だった。こうしてインフルエンザは広がっていくのだと思った。(保育園に休む旨は伝えました。)

 実家には姉の子(五歳と二歳)も来るので、あまり長居して菌をばら撒くのも良くないと思って、自宅へ早々に帰った。YouTubeアンパンマンや豚のアニメや3Dのキャラクターが歌を歌う動画を見ながら、母からクリスマスプレゼントで貰った(クリスマスまでに会えないかも知れない、もしくは外に出られずに可哀想だからだと思う)歌うエルサを握りしめて寝た。インフルエンザで頭がいっぱいでお礼を適当にしか言えなかった。ニコちゃんはとても喜んでいました。お母さんありがとう。

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 起きると隣の部屋で一緒に絵を描いた。「見て!」ニコちゃんが嬉しそうに描いた絵を見せる。「カレーパンマン!」見ると本当にカレーパンマンのような輪郭の絵が描いてあった。続いて「ボール(プールか?)」、「お魚」「こな(?)」。色んな絵が描けるようになったことに感動した。今まではぐちゃぐちゃに線を描くだけだったのに、だいぶイメージに近い絵が描けるようになってきた。すごい。

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 ニコちゃんのワガママを聞き続けるのはしんどい。ずっと家に居続けるのは息が詰まる。けれどもニコちゃんとおれるのは今だけなのだ。母が「髄膜炎になったらどうするの」と脅してくる。そんな可能性もゼロではないのだ。命があるのは奇跡の連続なのだと思う。普段そんなこと思わないけれど。

 インフルエンザを比較的軽い症状で乗り越えられたことにホッとする。ニコちゃんの生命力に感服する。けれどもいつでもその奇跡は起こり続けるわけではない。いつ何時なにがあるか分からない。気を抜かず、手を抜いて、些細な変化も見逃さないように気をつけたい。無事でいてください。