ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

コンテンツを提供するか、消費するか

 暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか。最近、思ったことを書きます。よければ読んでいって下さい。

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 日本は世界一子育てが難しい国、というウェブ記事を少し前に読んだ。著者はフランス在住の日本人で、ジャーナリストで、日本とフランスの社会や子育てを比較していた。

 日本で子供を連れて歩くと、殆どの人は何もしない。私だって子連れのお母さん/お父さんに対して、あまり話しかけたりはしない。たまにおばあさんに話しかけられたり、ごく稀に悪意を受けたりした。けれども、基本的に何もしないのが、日本の国民性だと思う。

 フランスだと、声を掛けられるのが日常茶飯事だそう。段差や階段を上るのを手伝って貰えたり、スーパーのレジで一番前を譲って貰えたり。どちらがいい/悪いは、一概には言えないけれど、国によって人柄や慣習が大きく異なるのは、とても興味深い。

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 少し意見が分かれそうな話をする。以前も書いた気がするのだけれど、フランスでは、女性の人権を守るために、1960年代に避妊を、1970年代に人工中絶を、法律で認めるようになった。

 それまで、フランスは、キリスト教的父権社会で、人工中絶が許可されていなかった。若くして望まない妊娠をして子供を産むことは、フランスの離婚率と貧困率を引き上げた。出生率は他の先進国と同様に下落し、政府はついに人工中絶を認めるようになった。今では先進国トップクラスの出生率を誇る。

 フランスではバースコントロール権は、女性が握る。日本では男性主導のコンドームによる避妊が一般的だけど、フランスでは女性主導のピルやリングによる避妊が7割だ。日本では避妊目的のピルは医療保険の対象外だけれど、フランスでは自己負担35%で買うことが出来る。

 アフターピルも日本だと医師の処方箋が必要かつ高額だけど、フランスは処方箋なしで無料でもらうことが出来る。中絶も、より身体に負担の少ない薬物による中絶が認められている。WHOは薬物による中絶を奨励しているけれど、日本では認可されていない。

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 こうした話を知って、私の今までの倫理観は、日本の政府や慣習の影響が大きかったのだと思い知った。中絶は悪で、非倫理的で、子供を授かったら絶対に産まなければならない、妊娠や出産は神秘的で尊いもの、尊ぶべきもの、と少なからずそんな風に思っていた。けれども所変われば、世界にはそんな国もあるのだと、目から鱗が落ちた。

 日本でフランスの真似が全て出来るかと言うと難しいところだと思うけれど、学ぶべきところは学んで、子育てを少しでも楽にするべきだと思う。避妊目的のピルが月々2000円が700円になったらめちゃくちゃいい。コンドームって男性が常に理性を保ってないと難しい。フランスでは最初はコンドームを付けて、信用が生まれるとピルのみで事に及ぶらしい。女性が妊娠をコントロール出来るって、素敵。

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 私は元から世間体を強く意識していたけれど、子供が生まれて、より世間を意識するようになった気がする。何かを決めるのに、自分一人での時でも、自分の意志よりも、自分がどう見られるのかを優先していた。それってとても窮屈で、あまり幸せじゃない気がする。

 外に出ればある程度は社会性や礼儀は必要だけれど、それだけが全てじゃない。どう見られるか、よりも、自分が何をしたいのか、を考えて、自分の気持ちを優先させた方が、きっと幸せだ。何をしたいかは自分で決めていいし、何が「普通」かは自分で決めていい。そしてそれは人に強要することではない。

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 愛することは、許すことだと、あるブログで読んだ。人を許すだけじゃなくて、自分も許してあげる。そうすることで幸せを感じることが出来る気がする。

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 ニコちゃんが、お風呂に入りたくない、今すぐに動画を観たいと、癇癪を起こして叩いて来た。ニコちゃんの目を見て、「なんで叩くの?」と聞いても、何も言わない。「ママも怒ったらニコちゃん叩いてもいい?」と聞くと、首を振って抱き着こうとする。「また叩かれるのかと思うと怖い」と言って、抱っこを拒否すると、ニコちゃんは大きな声で泣いた。そこでやっと伝わった気がして、抱っこをした。もう叩かないと指切りをした。ニコちゃんが笑った。

 ニコちゃんのすることなら何でも許す。ニコちゃんがどんなに悪いことをしても、私の知らない顔が増えても、きっと私はニコちゃんの味方でい続ける。何をしても肯定してくれるって母親くらいしかいないと思うから、いつまでもニコちゃんを肯定し続ける。

 けれど同じくらい自分の気持ちも大切で、一緒に生活するのなら、心地よいコミュニケーションを取りたい。一方だけが快適なコミュニケーションは、生活の破綻を招く。双方が気持ち良く過ごすことを心がけたい。たった3歳の子に求め過ぎかも知れないけれど、でも叩かれるのは嫌だということは分かって欲しかった。

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 最近、ニコちゃんは私の忠実なる部下で、私のことが大好きで、私が作ったご飯は喜んで食べる。否定される(泣かれたり、言うことを聞かなかったり)ことも多いけど、肯定されることも格段に増えた。

 インスタで、子育ての辛いところは、否定され続けること(泣いたりイヤイヤ言ったりすること)だ、という投稿を見たけれど、ほんとそうだなぁ、と思った。理性が育ってくると、我慢が出来たり、言うことが聞けたりすることが多くなって、コミュニケーションが取れるようになる。優しさも増える。ニコちゃんの思いやりにハッとさせられる。段々手を繋ぐことが減って行く。積極的にお手伝いをしてくれる。

 たくさん我慢をして、たくさん甘えて欲しい。社会性を身につけて、一人でも生きていけるように、幸せで健康でいて欲しい。色んな願いや想いを、一つずつ伝えていけたらいいですね。

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 色んなことを娯楽やコンテンツとして消化しがちだけれど、その向こうには生身の人間がいて、色んな感情を抱いている。自らコンテンツに成り下がる必要なんてないし、コンテンツとしてしか見ない人とは距離を置くべき。思う通りに生きていい。