ニコちゃん備忘録

消化しきれない、もしくは覚えておきたいアレやコレたち

聞き分けることが出来るようになった

 はたから見れば、なんだそんなこと、というようなことも、子供を初めて育てる私からすると、ビッグニュースであることもある。今回も、そんなもしかすると一見くだらない話。忘れないように文字にする。

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 二年弱前、今の家に引っ越す際に、祖母(ニコちゃんからすると曾祖母)が引っ越し祝いにテレビボードを買ってくれた。夫とニコちゃんと祖母と私の四人で、近所の少しお洒落なインテリアコーディネーターが常在する家具屋さんに行った。

 女性の、当時二歳の子供を持つ若いインテリアコーディネーターさんが接客に当たってくれた。小さな子供を持つ母ならではのアドバイスをくださり、信頼できそうな方だった。その方から、テレビボードとラグを購入した。正確には、祖母に買ってもらった。

 当時ニコちゃんは一歳になる前だった。子供にも安全な家具がいい旨を伝えると、そのインテリアコーディネーターの女性は「うちの子はダメ!って言うとしなくなりますけどね」と言った。けれども当時のニコちゃんは言葉がまだ通じなくて、聞き分けることなんてまるで出来なかった。動物で、怪獣だった。人間になることが想像できなかった。

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 一昨日、店でパートで働いてくれている同級生のお母さんがパーマをかけに、空いた時間にお客様として店にやって来てくださった。保育園から帰って来たニコちゃんは、同じ組に通い、一緒に帰って来た従姉妹に「お店行こう!」と誘う。お客様はパートさんだけだったので、従姉妹と共にお店に連れて行った。

 二人はレジのパソコンを使うフリをするのが好きで、二人をクルクル回る丸椅子に座らせて、パソコンでYouTubeアンパンマンのオモチャで遊ぶチャンネルを見せて、間を持たす。けれども二歳の二人は手足をばたつかせ、丸椅子に乗ったままテーブルを蹴ったり、椅子からスリッパを脱いだまま降りてみたり、危なっかしい。

 待合スペースに移動し、従姉妹にウォーリーの本を見せるも、ニコちゃんは興味を持たず、スティッチの大きな団扇を振り回して遊ぶ。それを見た従姉妹も、ウォーリーの本を広げたまま、もう一つの団扇を手にして、振り回す。ヒッチャカメッチャカ。その時電話がなる。

 引っ越し祝いにテレビボードを買ってくれた祖母からの内線だった。用事があって出かけるから、勝手にご飯を食べてくれるか、という旨の電話。ニコちゃんに出させて、途中で代わって受け答えをする。急いでいたのか直ぐに切れたようで、ニコちゃんに受け答えの後電話を再び渡すと「切れちゃったー」と私に受話器を返す。

 急に泣きそうな顔になる。「電話したい!」そう言って泣き出す。眠い時やお腹が空いた時、自分の要求が通らないと泣き止まなくなる。必死に言い聞かせる。祖母はこれから出かけなければならないこと、今からご飯を食べること。ダメ元だった。

 今までは、それでも聞かず、鬼から電話がかかってくるアプリが最終手段だった。けれどもその時は、驚くほど素直に「うん」と聞き分けて、理由に納得して泣き止んだ。頭をしてもらっていたパートさんが「偉いねえ」と褒めてくれた。私もびっくりして褒め称えた。

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 インテリアコーディネーターさんの話を思い出した。「ウチは二歳なので、言ったら聞いてくれる」そう言った彼女の言葉に、私は「ウチはまだ全然言うことを聞いてくれません」と泣き言を洩らしていた。けれども今なら、本当ですね、と言いたい。あの時に戻って、彼女と話がしてみたくなった。

 小さな成長。けれども大きな一歩に感じる。取るに足らないこと。けれども私からすると忘れたくないこと。小さな日々の感動を、忘れないためにアウトプットする。文字にすると忘れない。見返すと思い出すことが出来る。夜、ベッドの上で腕の中にニコちゃんがいる幸せとか、時を超えての実感とか、成長とか。自分のために綴っておく。